省エネ最新事情⑫(見直し編)~Ⅰご用心!契約電力を毎月確認していますか?~

    ミカドONLINE編集部です。当社 ミカド電装商事は、環境省よりエネルギーマネジメント診断機関として採択され、エネルギーコンサルティングサービスや省エネセミナーなども行っています。今回は「職場の省エネ(見直し編)」というテーマで、当社の表(おもて)部長に3回シリーズでお話を伺います。

     

    表 伸也(ミカド電装商事(株) 上席エネルギーコンサルタント)

    実量料金制度(デマンド料金制度)ってなに?

    突然ですが、皆さんの会社の電気の契約種別は「高圧電力」ですか?「低圧電力」ですか?
    電気の契約種別は、電力会社の「電気ご使用量のお知らせ」(検針票)で確認できます。
    自社の検針票を直接見る機会がない方や、検針票ではすぐに判断しにくい表記の方でも、敷地内にキュービクルと呼ばれる、一見物置?のようにも見えるキャビネット(「変電設備」と書かれている)があれば、高圧受電の契約であることがわかります。※「高圧」の契約電力は50キロワット以上2,000キロワット未満。実際は各電力会社とも、プランが細分化されています。

    さて、その「高圧電力」の電気料金のうち、契約電力が500kW未満の場合は、実量料金制度(デマンド料金制度)が適用されます。これは過去1年の間に実際に使用した最大電力に基づき、契約電力の値(デマンド値)が増減する仕組みで、30分ごとに計測して求められる1時間の電力平均使用量が、どこかのタイミングでそれまでの契約電力を上回ってしまうと、その高いほうの値に契約電力が差し替わるルールです。それによって基本料金も値上がりし、一度上がった基本料金は1年間継続されます。ですが、利用者に向けて特に通知がないため、気が付かないまま、高い基本料金を払っているケースもしばしばあります。

    一例として、左の表はある公共施設の月別電力使用量ですが、11月に契約電気量が上がっています。これは当月、または11か月前に、使用電力のピークがそれまでの最大値(84kW)を上回り、85kWになった時間があった、ということになります。
    さらに翌月も再び上がり、契約電力が92kWになりました。この値は、月ごとに、当月を含む過去12か月間のピークが92kWを下回るまで継続します。翌年の12月になって、過去1年間のピークが92kW未満だった場合は、その値に下がりますが、その間に92kWをオーバーしてしまうと、新たにまた契約電気量が上がることになります。

     

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    電力料金の節約は「見える化」と「設備の更新」

    編集部 「電力は合計使用料も大事ですが、時間ごとの最大値も大事なことがよくわかりました。こういった事柄を知らない方も多いのでは?」
       「はい、料金だけ見て細部を見ない方が多いので、電気料金節約のためには、時間帯や月ごとのデータを記録して、使用電力の見える化を図る必要があります。電力会社のメーター(記録型計量器。デマンドメーターとも呼ばれる)を見てもいいですし、自社の受電盤の電力メーターを記録してもいいです。また、ウェブで電気の使用量を確認できるサービスを提供している電力会社もあるので、そちらを活用されても結構です(東北電力「電気ご使用実績照会サービス」など)。高圧電力の方は、最低でも、「電気ご使用量のお知らせ」の値は、EXCELなどに毎月入力することをお勧めします。自社が使っている電力を把握することが第一歩です。
    編集部 「ひとりひとりの努力はもちろんですが、ほかに対策は?」
    表   「やはり設備更新の効果が大きいです。照明をLEDに変えるとか、空調設備を見直すとか。当社は昨年の3月に照明をLEDに変えましたが、電気使用量が半分になりました。空調も10年~20年経っている設備であれば、更新によって効率が大きく違ってきます。照明や空調は長く使うので影響が大きいんです。空調等は特に問題がなければ、耐用年数を過ぎても使っていらっしゃる場合もあると思います。けれど、長い目で見れば、省エネ対策が施されている新しい設備を導入したほうがお得になります。元が取れるのは設備次第ですが、LED4~5年、空調10年といったところでしょうか。」
    編集部 「意外なケースもあるとか?」
       「ある製造業のお客様のデータを取らせていただいたところ、8月のある1日だけ突出して電気使用量が多いんです、しかも夜間に(右図)。そこで詳しく調べてみたところ、この日は、社員の皆さんのために、福利厚生施設を開放した日だったことがわかりました。その日は暑かったため、広い面積でエアコンを付けていたそうです。生産設備に関しては十分注意をしていたそうですが、普段の電気使用料が少ない事務棟や福利厚生施設は対象外だったため、気付くのが遅くなったようです。」

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    ピークカットにはデマンド監視装置が有効です

    編集部 「普段いくら気を付けていても、一度上がってしまうとその契約電力が1年間続くんですね。でも、電力使用量がいつピークになっているか、すぐにはわかりにくいと思うのですが・・・」
       「そのため今は、デマンド監視装置というのがあって、様々なタイプのシステムが出ています。一般的な機能としては、①電力の見える化 ②デマンドの監視・予測・警報 ③自動負荷制御などです。デマンド監視装置は当社(ミカド電装商事)でも扱っています。」
    編集部 「え!それは勉強不足でした。恥ずかしい・・・」
       「当社では、未来工業さんのエネルギーマネジメントシステム『電力マネージャー』というシステムを取り扱っています。導入しやすい価格帯なのでおススメです。ホームページはこれからですが。」
    編集部 「こちらのパンフレットですね。もっとよく勉強しておきます(笑)」
       「次回は、LED照明についてお話します。」
    編集部 「ありがとうございます。次回もよろしくお願いいたします。」

     

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