【ヒストリー】31.ラジカセ~ラジオ録音がナウかった昭和の若者文化の立役者~

    私が中学生の頃、父がアイワのラジカセを買ってきました。当時はスピーカー部分にポツポツと穴があいた黒いビニールカバーが付いていて、今思えば陳腐な感じもしますが、ものを大事にする父はそのカバーをきちんと本体にはめていました。ですが、そのラジカセを誰よりも一番利用したのは、FMラジオでアイドルのヒット曲を録音したかった私自身でした。(歳がバレますね)

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    いまやすっかり主流から外れてしまったラジカセですが、世界で最初のラジカセは、カセットテープを発明したオランダのフィリップス社から1966年に発売されました。最大の売りは、マイクやケーブルを使わなくてもラジオ番組を直接録音できること。放送内容を個人で保存するという発想も手段もなかった当時、それ1台でラジオ番組が簡単に録音できるのは画期的でした。しかしその後すぐに、日本で機能的に優れた追随製品が開発され、ラジカセの欧州市場は日本製品で占められるようになりました。

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    その日本で最初にラジカセを商品化したのがアイワです。発売は1968年3月で初代機TPR-101の価格は当時の大卒初任給とほぼ同額の2万5900円でした。この機種は輸出されてアメリカなどでもかなり売れたようです。ラジカセという名前の通り、TPR-101はカセットテープレコーダーに+FM、SW、AM の3バンドラジオチューナーが付いており、本体に刻印された商品名は「3BAND RADIO RECORDER」。この名前からも、初期のラジカセは、会話の記録や音楽視聴ではなく、ラジオ放送の録音を目的に開発されたことがわかりますね。

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    残念ながらアイワはデジタル・IT化の波に乗り切れずに2002年にソニーに吸収合併され、ソニーが引き継いだアイワのブランド名も2008年に幕を閉じました。ですが空前のエアチェック(放送録音)ブームを巻き起こし、当時の若者文化の一端を担ったAIWAブランドは、おじさん・おばさんの胸の中でいつまでも生き続けています。(昔のロゴを掲載してみました)


    画像の出典/(上)フィリップス社ラジオレコーダー:pinterest、(下)アイワTPR101:初期ラジカセの研究室