【雑学】春には苦みを盛れ


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    ぽかぽかと暖かい日が増えてきました。でもなんとなく調子が出なかったり、「春眠暁を覚えず」という言葉がしょっちゅう頭に浮かんでしまう人も多いかもしれません。新たな生命のサイクルが働く春は、ホルモンバランスに変化が起こり、アレルギー性の疾患や動悸、めまい、頭痛、貧血などの症状も起こりやすいと言われています。また、冬の寒さに耐えた体は老廃物を蓄積しており、春はそれをデトックスしようと肝臓に負担がかかる季節でもあるそうです。

    そんなこの時期に思い出したいのが、「春には苦みを盛れ」という昔からの教え。ふきのとうや菜の花、たけのこ、春キャベツといった春野菜特有の苦みや香りには、心身に刺激を与え、身体機能を活発化させてくれる効果があるそうなのです。この「苦み」のもととなるのは、植物性アルカロイド。野菜が昆虫などから身を守るために持っている自己防衛手段ですが、腎臓のろ過機能を向上させたり、新陳代謝を促進する働きを持っています。また、苦みのある野菜には抗酸化力の高いポリフェノールやカロテンが豊富。セリ科の香り成分には血圧を下げたり心を落ち着かせる作用のあるテルペン類、キャベツや菜の花などのアブラナ科の野菜にはグルコシノレートという肝臓の解毒機能を促進する成分が含まれています。旬の食べ物には、その季節に欲しい栄養がたっぷり蓄えられているんですね。

    冬眠から目覚めた熊も、まずふきのとうを食べて冬仕様の体をリセットするのだとか。冬物の服をクリーニングに出すように、寒い冬に老廃物を溜めこんだ体を旬の春の「苦み」で浄化してみてはいかがでしょうか。



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