【雑学】竈神様が怖くて普及しなかった「鍋料理」の歴史

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    寒い季節に食べたいものと言えば、熱々の鍋料理。寄せ鍋、ちゃんこ鍋、きりたんぽ鍋…などなどたくさんの種類がありますが、日本における鍋料理の歴史は意外と浅いようです。

    縄文~弥生時代頃から煮炊きは行われていましたが、鍋状の道具を使うようになったのは鉄器が登場してから。しかし、調理が終わってから取り分けて各自の膳で食べるものであり、火にかけたままの鍋から直箸でつつくものではありませんでした。

    「みんなでつつく」鍋料理が発達したのは、囲炉裏のない町屋や料理屋で、火鉢などを利用して小鍋で調理しその場で食べる「小鍋仕立て」が提供されるようになった江戸末期。それでも、竈の神様を祀る文化がある中では「竈の分裂」を引き起こす行為だとして一般の家庭には浸透しなかったようです。明治に入ると、牛鍋の流行や、各々の膳ではなくちゃぶ台での食事が普及したことなどから、小鍋仕立てへの禁忌が薄れ、鍋料理が広がっていったとされています。

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    ちなみに、世界各国にもいろいろな鍋料理がありますが、タイの鍋料理の代表である「タイスキ」の語源は「タイ風のスキヤキ」だと言われています。魚介や肉、野菜などを煮込みピリ辛のタレに付けて食べる料理で、どちらかというとしゃぶしゃぶに近いもののようですが、タイスキのチェーン店、コカの初代経営者が、坂本九の「上を向いて歩こう」の英語タイトルとしても当時から世界的に有名だった「スキヤキ」にあやかって命名したそうです。

    海を渡り形を変えた「スキヤキ」と、牛鍋をベースに発展した関東風、加えてその名の通り肉を焼く関西風「すき焼き」の食べ比べができたら、お腹も心も大満足できそうですね!


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