【雑学】崖っぷちの『賭け』だったシイタケ栽培

    たくさん種類のあるキノコの中でも、代表と言えばシイタケ。

    スーパーなどでは原木栽培またはおがくずなどを固めて菌床栽培されたものが一年中売られており、いつでもすぐに手に入る食材というイメージがあります。

    しかし、こんなに身近な存在になるまでには、大変な苦労がありました。
    シイタケが栽培され始めたのは江戸時代。

    当時の栽培方法は、ナラやクヌギの木に刃物で傷をつけ、そこにシイタケの胞子が飛んできて
    自然に付着するのを待つ、というもの。つまり、胞子が付着するかどうかは風任せで、しかも発生が分かるのは2、3年後。

    うまく胞子が付いてくれれば大金持ちですが、借金をして木を用意しても、胞子が付かなければ全財産を失い、一家離散となるほどのギャンブルだったのです。老農夫が借財して買った原木に手を合わせ、胞子が風に運ばれ自然に付着することを祈る。
    昭和初期、そんな切実な光景を見て奮起したのが、現在の森産業株式会社の創業者であり、
    「キノコの父」とも言われる森喜作です。

    研究に没頭した末に、ついにくさび型の木片にシイタケ菌を純粋培養した「種駒」による栽培法を確立させました。種駒が完成した際には、真っ先にその老人に届けたそうです。

    <雑学の雑学>
    天然ものや露地栽培のシイタケの旬は春と秋。
    カサが丸っこく、内側のヒダが白いものを選ぶのがポイントです。
    水滴が付かないようにキッチンペーパーなどで包んでから袋に入れて冷蔵庫へ。
    ヒダの胞子が落ちないよう、軸を上にして置くとさらに日持ちします。

    乾シイタケには、生シイタケの約9倍もビタミンDが含まれます。
    これは、「エルゴステロール」という成分が紫外線を浴びてビタミンDに変化するため。
    しかし最近は機械で乾燥させているものも多いので、調理前にしばらく日光浴させて、ビタミンDを増やしてあげましょう。