省エネ最新事情①進化するLED照明~株式会社パルックス仙台L.S.C


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    3月にミカド電装では照明をLEDに変えました。職場の省エネも日々進化しています。今回は施工いただきましたLEDのプロ、パルックス仙台L.S.Cの小松久昭企画室長と安齋裕一郎センター長にお話を伺いました。(文中敬称略)

    LEDはどうして省エネになるのですか?

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    安齋「電気を光に変えるエネルギー変換効率が圧倒的に違うんです。白熱電球は約10%、蛍光灯は20%、LEDは今45%まで上がっていますから、少ない電力で従来と同等の明るさが得られることになります。」

    小松「白熱電球は電熱器と同じ原理で、フィラメントの温度が、2000度を超えると白く発光が始まり『光』となりますが、ほとんどのエネルギーが熱になってしまうんです。フィラメントの寿命もだいたい1000時間程度と言われています。それに対しLEDの寿命は4~6万時間と長く、交換の手間も減らせます。また蛍光灯の場合は、真空放電の原理で発光するわけですが、電子を飛ばすフィラメントにやはり寿命がありますし、管の内側に塗られた蛍光体も劣化し、熱で黒く焦げてきます。」

    安斎「LEDも多少の劣化はみられますが、それはLEDを覆うレンズなど周辺部分の寿命で、LED素子自体は鉱石が原料ですので半永久と言われています。LEDは電気を直接光に変換する半導体ですから長持ちもしますし、非常にエネルギー変換効率がいいんです。」

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    編集部「つまり、従来の照明よりも電気の消費量がずっと少なく、しかも寿命も長いという二重の意味で省エネになるんですね。」

    小松・安斎「はい。そしてそのためには製品のお値段だけではなく、品質の確かなメーカーを選ぶことも大事だと思います。」

    工事が必要と聞きました。何年で回収できるのですか?

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    安齋「一般電球タイプの口金付照明の場合は交換だけでそのまま使えますが、蛍光灯の場合は手前に安定器という専用装置が入っているので、それを取り外す工事が必要になります。最近は安定器工事不要の簡易製品も出ています。ビルのテナントなどは、退去時に原状復帰を求められますから、従来品が使えるようにしておかないといけない場合もあるんですよね。本当は将来の事を考えますと、照明器具ごとのLED化がお勧めなのですが・・・」

    小松「投資回収は1日あたり12時間の点灯でだいたい4~5年です。もちろん効率のいい製品の場合は3年以内も可能です。」

    安齋「お客様がこの場所に於いて今後何年後に改装されるのか、お金をかけて長期的にやるのかあるいは、あまりお金を掛けずに簡易的にやるのか、それによって回収ポイントも変わってきますので、私共はお客様の現状を分析し、お話を十分伺った上でご提案を行い、お客様に判断して頂いております。」

    導入の進め方にも色々あるんですね。注意点は?

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    安齋「今は様々な種類の製品が出てて選択肢の幅が非常に広いです。価格もこの数年で随分安くなりましたが、色も皆さんがよく御存じの白色だけではありません。従来の照明と異なり、金額が同じなら照明の内容も同程度という考えが成り立たないんです。」

    小松「他店舗展開されているあるお客様でいくつかの店舗を、(弊社を含め)同じ金額で複数の業者に別々に依頼したところ、結果にバラツキがあり、『暗くて雰囲気が悪くなったお店がある』ということでリカバリーのご依頼を受けたこともあります。ほかにも、LED化して生鮮食品の色が悪く見えてしまうケースなど、明るさや演色性は製品の選定に大変重要で、本当に違って見えます。」

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    安齋「以前は粒々の玉を組み合わせた多灯体のライトしかなかったので、24時間営業のコンビニなど、早くにLEDを導入したお店からは、影が複数見える。色むらが出る。という不満もありました。それだと衣料品店の場合は、展示商品にシワがあるように見えて違和感をおぼえたりしますが、現在は粒々ではなく、LEDチップのほうをボードに集約してひとつの光源に、明るさや色むらを極力無くした製品もあります。」

    小松「お客様毎に適正な照明、より快適な空間環境というのがあると思うんですよ。それをしっかり把握し、それにお応えするのが私共の仕事だと思っています。」

    編集部「価格も種類も豊富になった分だけ、商品の選択が重要になってきているんですね。今日はありがとうございました。」

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    取材協力:株式会社パルックス仙台L.S.C 小松久昭様、安齋裕一郎様 (2016.03.17)
    図版出典:Wikipedia、ecozone




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