【ヒストリー】21.ガスコンロ

    七輪からぐるりと華麗に変身

    ガス台、ガスレンジ、ガステーブルなど、今はいろいろな呼び名があり『ガスコンロ』という言葉を使うことも少なくなりましたが、コンロというのは立派な日本語で、漢字では焜炉と書き、本来は持ち運び可能な調理用の炉の事でした。

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    出典:ハーマン

    さて、このガスコンロですが、日本で最初に今と同じ形(ビルトイン)のガスコンロをつくったのは、ハーマン社(当時の社名は多田金属工業)です。ハーマンは大阪ガス向けの鉄製ガスコックで創業した会社ですが、ガス需要が急拡大し始めた昭和 30 年(1955 年)に鋳物製のガス七輪を世に出しました。今の家庭用ガステーブルとは異なり丸型の五徳にホースをつないでつかうものでした。ハーマンはその2年後に自

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    出典:ハーマン

    社のホウロウ技術を生かし、よごれの付きにくいホウロウ製卓上型ガスコンロを発売、これらが今、現在のガスコンロの最初の商品と言われています。ハーマンは昭和 41 年(1966 年)には消費者の魚焼きニーズに応えるため、業界初のグリル付 きコンロを発売し、この後も次々と新製品を生み出しました。と言っても、その業界初の魚焼きグリルはコンロ用バーナーを(ぐるりと?)下向きに回転させてグリル 用のバーナーに転用する方式だったようです。

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    出典:ハーマン

    ハーマンは湯沸かし器や風呂釜を主体とする陽栄製作所と、ガスコンロやオーブンを主体とする多田金属工業が合併してできた会社ですが、陽栄製作所は『ダンホット』、多田金属工業は『ターダ』というブランド名を持ち、それぞれ、TV番組の「服部半蔵 影の軍団(千葉真一主演)」(ダンホット)、「MBS水10ドラマ」(ターダ)を提供していました。今はないこのブランド名を聞いたことがある方は、番組を見たことがある方かもしれませんね。そんな話題に花を咲かせながら、鍋をつつくのが似合う季節になってきました。