【雑学】花よりも球根を見て命名されたシクラメンの変な和名

    色鮮やかなシクラメンの鉢植えが、花屋さんの店先を飾る季節になりました。シクラメンは秋から冬にかけて咲く、冬の鉢花の代表的な存在ですが、その華やかな見かけとは裏腹に、和名はなんと「豚の饅頭」!!!

    これは、豚が好んでシクラメンの球根を食べ荒らすため、ヨーロッパでつけられた別名「sow bread (雌豚のパン)」をそのまま翻訳したものです。シクラメンが日本に入って来たのは明治時代ですが、パンはそもそも外来語であるため、命名者の大久保三郎氏 (植物学者)は、和訳の際に、球根の形状から、あえてわかりやすく饅頭と言い換えたのかもしれません。ですが残念なことに、周知のとおりこの呼び名は全く普及せず、今では英語のシクラメンがとてもポピュラーな花名になっています。

    ちなみに英語のシクラメンをアルファベットで書くと Cyclamen で、サイクラメンと発音します。実はシクラメンという名前は、英語のcycle(サイクル)、ギリシア語ではkiklos(キクロス=円)が語源です。花が終わった後の茎がクルクルと円のように巻かれて行くためその名が付いたようです。(品種に寄るそうです)

    さて、コンビニの肉まんがすっかり定番となった現代の日本で、肉まんの季節に咲く花の和名が「豚の饅頭」というのも、不思議なご縁を感じさせますね。ちなみに原種系のシクラメン「ネアポリタナム」の球根は以下。うーん、やっぱり「豚の饅頭」に妙に納得してしまうかも・・・