【今月の言葉】第17回「とんでもございません」_18号

    今月の言葉

    【とんでもございません】
    身に余るお褒めの言葉をいただいたときに、謙遜の意味を込めて 【とんでもございません】 と返すことがあります。「とんでもない」の語源は「途でもない」です。途は道、道程の意味から、手段や物事の道理も意味するようになりました。その「途」に否定の「ない」をつけて道理から外れてひどい状態や、思ってもみない状況を表す言葉になりました。

    けれども「とんでも」が単独で使われる事はなく通常は「とんでもない」で一語と見なします。そのため「ない」だけを丁寧語に置き換えて 【とんでもございません】 というのは間違いで、使うなら 【とんでもないことでございます】 が正解、と長く言われてきました。

    ですが 【とんでもないことでございます】 の「とんでもない」は、非常識、あり得ない、もってのほか、という否定的な意味にも受け取られるため、2007年の文化審議会答申の敬語の指針では、相手からの褒め言葉に対して謙遜しながら軽く打ち消す表現として【とんでもございません】 を使うことは問題ないという判断になりました。つまり今では正しい敬語なのです。

    ※この言葉の正誤は以前秘書検定の問題にも登場したため、「間違い」と解説してあるサイトをよく見かけますが、2007年以前に作成された可能性が高いです。