単位の歴史(24)~長距離移動は角度が大事。海里は地球の緯度から求めた距離の単位です~

みかドン ミカどん今回の単位の歴史は海里についてお伝えいたします。私は航海士でもパイロットでもないので海里と聞いてもあまりピンときませんが、大航海時代は船の安全と命を左右する大事な単位でした。

海里は緯度を基準とした単位です

海里は海や空で用いられている距離の単位で、緯度1分の長さが1海里です。1海里は国際海里では1852 mと定められています。

半端な数ですが、船や飛行機は地球規模でとても長い距離を移動しますので、海図にも航空図にも緯度や経度が書き込まれており、航海や長距離飛行にはそれを基準にした単位のほうが都合がいいのです。そのため世界中で利用されています。

海里に関しては海難審判所の説明がとてもわかりやすいので以下に引用いたします。

地球の360分の1が緯度1度、1度のさらに60分の1が緯度1分です。したがって、南極・北極を通って地球をぐるりと一周する長さの(360×60=)21,600分の1の長さが1海里ということになります。メートルで表すと1,852メートル(1.852キロメートル)になります。

メートルで表すと複雑な数値に見えますが、海で用いるには海里が便利です。
船で用いる地図は「海図」です。広い海の上で地点は緯度・経度で表し、海図上で距離を求める場合、緯度に対応した海里を用いると海図と一致するので便利です。
また、船の速力を表す単位は「ノット(knot)」で、1時間に1海里進む速さが1ノットです。船の速力、航走距離を海図から容易に求められるという点からも、海里を使うと便利です。

(出典:海の知識「○○海里って?」_海難審判所ホームページ

これを読むと、船の速さを表すノットという単位も、緯度を基準につくられていることがわかりますよね。

大航海時代に必須だった緯度と距離の計算

海里を考案したのはイギリスの数学者・天文学者であるエドマンド・ガンター(1581 – 1626)です。

ガンターは対数尺といわれる計算尺を発明したことで知られていますが、これは普通の数直線とそれに対する三角関数の値、 対数値などが刻んであるものです。

ガンターが生きた時代は大航海時代と呼ばれ、価値ある未知の資源を新天地に求めてヨーロッパからアフリカ・アジア・アメリカ大陸への大規模な航海が行われた時代です。

その際に、少し前に発明されたメルカトル地図の補正のために対数や三角関数の知識が必要になり、難しい計算のため天文学者も動員されたそうです。

今でこそGPSがありますが、海上は見渡す限りの海原で自分の位置がわかる目印は全くありません。大航海時代は計算ひとつ間違えても船の遭難に繋がるため、精度の高い計算を容易にしてくれるガンター尺は当時の航海でよく使われたようです。

エドマンド・ガンターの著書(画像:Edmund Gunter (Page 1)

そのガンターが、航海では天文観測で船の緯度を測れば移動距離がわかる単位が望ましいと考えて考案し、提唱したのが海里でした。

ちなみにガンターはサイン、コタンジェントという言葉をつくった人物でもあります。(残念ながら御本人の画像はないようです)

地球は扁平であるため、緯度1分といっても測る場所によって距離は変わります。そのためしばらくの間、海里は各国によってバラバラの値でしたが、1929年にモナコで開かれた臨時国際水路会議によって1852 mと決められました。

海里という単位はSI単位系ではなく、2019年以降は「その他の非SI単位」としても認められなくなりましたが、「排他的経済水域200海里(約370キロ)」などのように、いまもよく使われているのは、現実に即した使い勝手のいい単位だからかもしれません。

長距離を移動する船や飛行機を操作する人にとっては、何よりも角度(緯度)が大事だったんですね。

(ミカドONLINE編集部)


引用/参照記事 海の知識「○○海里って?」_海難審判所ホームページ 海難から人々の命を救った数学-対数の発見- ヘンミ計算尺の歴史と沿革 など

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