ミカドサイエンス&テクノロジー講座(18)~「おやつ食べてね」と仲間にコインを寄付できるヨウムの知能は5歳児以上?~

みかドン ミカどん

今回は久しぶりに生き物の話題です。一昨年、大型インコのヨウムがコインを仲間にプレゼントしている様子が動画で公開されました。このコインはおやつと交換できるもので、ヨウムは仲間が困っているときに支援的な行動が取れるハイレベルな鳥であることがわかりました。

ヨウムは慈善活動ができる高知能なインコ!

見返りを求めずに相手を助ける行動は、人間やオランウータンなど一部の霊長類しか持たない特性だと考えられてきました。鳥の中でもカラスは極めて高い知性を持つことで知られていますが、仲間に無償で自分の物を分け与える行動はまだ確認できていません。

そこで、マックス・プランク鳥類研究所(ドイツ)のフォンバイエルン氏と、スイス連邦工科大学チューリヒ校のブルックス氏の研究チームは、カラスと同様に高い知能を持つ鳥類のヨウムが慈善行動をとれるかどうかの実験を行いました。

🌎ヨウムは通貨の概念を理解し仲間に「おやつを買うお金をあげる」ことが判明

実験ではあらかじめ、ケージの窓から人にコイン(実験用)を渡せばおやつがもらえることを8羽のヨウムたちに学習させておきます。そして仕切られたケージに一羽ずつヨウムを入れて以下の環境にしてみました。
◆片方のヨウムはコインはあるけど窓が閉じていて人間にコインを渡せない
◆片方のヨウムは窓は開いているけど人間に渡すコインがない

すると窓が閉じていておやつを請求できないほうのヨウムが、請求できるほうのヨウムにコインをプレゼントする行動が確認できたのです。(詳しくは動画をご覧ください)

人間関係ならぬ”鳥関係”や相手環境も判断基準に!

実験では8羽のヨウムのうち7羽が10個のコインのうち最低1個、平均して半分を隣のヨウムにプレゼントしました。また、隣の部屋にいるヨウムが仲のいい個体だった場合には特に多くのコインをあげたそうです。(そうでなくても一応コインはあげたようです)

さらにヨウムはコインを相手に渡す際に、相手側の環境もきちんと見ていることがわかりました。写真の状態ではどちらのヨウムも緑のフタで窓がふさがっているので、ここからコインをくわえた首を出しておやつをおねだりすることができません。

こんなときに相手にコインを渡しても、相手はおやつをもらえません。するとヨウムは相手にコインを渡すのをやめるのです。「今渡しても相手の利益にはならないので無駄」とでも思っているのでしょうか。そこまで見ているなんて本当にすごいですね。

ちなみに同じ実験を施したヤマヒメコンゴウインコにはこの傾向はみられなかったとのことです。

インコやオウム類は人間と似た進化をしている

インコやオウム類は人間の2歳児の感情と5歳児の知能があるそうです。中でもヨウムは特に頭がよく知能は人間の6~8歳並み。伏せたコップを使う記憶力テストでは、ハーバード大学の学生に勝ったという研究も発表されています。

🌎天才ヨウム、記憶テストで名門大学の学生を上回る成績を出す(米研究)

インコやオウム類が総じて賢いのは、進化の過程が人間によく似ているからです。それはがん細胞に対処したり、細胞の成長を適切にコントロールするための変化など、寿命に関する長い問題解決の歴史とのこと。それが脳の発達にも関係があり、実は人間も同じプロセスで高度な知能を獲得してきたらしいです。

🌎なぜオウムだけ他の鳥より賢いのか? オウムの進化過程は「人間と似ている」という研究結果

高いコミュニケーション能力と愛すべき社交性

今回の実験では比較のためにヨウムとヤマヒメコンゴウインコが使われましたが、ヤマヒメコンゴウインコのほうでは相手のためにコインを渡すような慈善行動は見られませんでした。

その違いは「群れの大きさ」にあるのではないかと推論されており、スイス連邦工科大のブルックス氏は以下のように語っています。

最大で1200個体にも上る巨大な群れで生活するヨウムは、10~30個体のはるかに小さな集団で生活するコンゴウインコよりも高い社会的認知能力が必要となることが考えられる。

その環境はまさに人間と同じで、大勢の中でうまくやっていくためにはコミュニケーション能力が欠かせません。そのためか、ヨウムは人懐っこくて言葉を覚えるのも早く、ある程度意味を理解して人間と会話のようなやりとりができる個体もいます。

ネットの世界では鳥系ユーチューバーと呼ばれる人たちが投稿するセキセイインコのおしゃべりが人気ですが、近年はヨウムの人気も高く、検索すると愉快な動画がたくさん出てきます。

ちなみにヨウムはオウムではなくインコの仲間です。オウムとインコの違いは色々ありますが、一番わかりやすい違いは「冠羽(頭のてっぺんの長い羽)」があるかどうかです。なのでヨウムはインコの仲間で、冠羽があるオカメインコはインコと言っても実はオウムの仲間なんですね。

というわけで、最後は雑学でこの記事を終えたいと思います。

(ミカドONLINE編集部)


出典/参考記事:ヨウムは通貨の概念を理解し仲間に「おやつを買うお金をあげる」ことが判明 ヨウムの「無私無欲の行動」 進んで仲間を手助けか 研究 天才ヨウム、記憶テストで名門大学の学生を上回る成績を出す(米研究) なぜオウムだけ他の鳥より賢いのか? オウムの進化過程は「人間と似ている」という研究結果 など

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