驚異のエネマネ新技術⑩ ~ハイパーカーも電動化!中国支援で2億円越えのロータスフルEV~

今年(2019)の3月、世界で最も売れているEV(電気自動車)「日産リーフ」が世界販売40万台を達成したと発表されました。とはいえ、売れているといわれていても、2018年の日本での新車登録台数は2万6000台弱とのこと。「プリウス」「アクア」のようなハイブリッド車(HV)が国内では年間12万台規模で売れていることを考えるとスケールの違いは否めません。
市場がなかなか広がらない背景には、やはり航続距離への不安が根強く、まだまだ発展途上で評価が定まらないことも一因かもしれません。しかし、世界の潮流は完全にEVに舵が切られています。

ロータスのフルEV「エヴァイヤ」は2000馬力で2億円越え

イギリスのスポーツカーメーカーのロータスは昨年、同国で初のフルEVハイパーカーとなる「エヴァイヤ」を発表しました。ハイパーカーと言うのはスーパーカーをさらに上回る高出力・高性能の車のことで、通常は数百台にも満たない規模で少量生産されている希少な車です。公道を走れるため富裕層に人気がありますが、価格も数億円と大変高額なため、世界でひと握りしかいない超セレブのための車と呼んだ方がピッタリくるかもしれません。そしていま、そういったハイパーカーを製造している専門のメーカーが、次々とフルEVの新モデルを発表しています。

ロータスの「エヴァイヤ」はイギリスで新車発表後、2019年8月15日に米国で開催されたモントレー・カー・ウィークを皮切りにワールドツアーを開始し、日本では9⽉8⽇に富士スピードウェイで開催された「ジャパン・ロータスデー2019」で初披露されました。

「エヴァイヤ」は私たちがイメージする電気自動車の概念をはるかに超越しています。パワートレインには4基の高出力モーターを搭載し、目標最高出力は2,000psで最大トルクは1700Nm、そして最高速度320km/h以上、航続距離約400kmを掲げています。
そこまでの高速になると空力性能も重視されるため、スーパーカー以上に現実離れしたフォルムになっていますが、そこがまたハイパーカーらしさといえるのではないでしょうか。

気になるバッテリーはロータスとジョイントベンチャーを組んで共同開発されたWAE(Williams Advanced Engineering)製の2000kWのリチウムイオンバッテリーパックを積み、800kWという非常に強力な充電器からの入力を受け付けられますが、残念ながらそのレベルの充電器はまだ世の中にはないらしいです。けれど、現在使用可能な最大容量をもつ350kWの急速充電器でも18分で満充電状態になるそうですから驚きです。さぞかし重いのでは?と思いましたが、車両重量は1680kgに抑えられ、EVハイパーカーとしては世界最軽量とのこと。(ロータスのDNAである”軽さ”にこだわったようです)

このバッテリーにIntegral Powertrainが提供する電気モーターを搭載したパワートレインで、スタートしてから3秒足らずで100km/hに到達し、そこからさらに7秒以内で300km/hに達します。つまり「エヴァイヤ」は停止状態から10秒かからずに300km/hに到達するすごい車なんです。

お値段は180万~200万ポンド(本体価格のみ。税別、輸送費別、諸費用別)なので日本円にすると約2億4000万円〜約2億6500万円です。そんな車を買う人がいるのかしら?と思いますが、アメリカの発表会ですでに11台の予約が入っているそうです。

エヴァイヤはコードネーム「TYPE130」という名前で開発されてきたことにちなみ、全世界で130台の限定生産です。お披露目のワールドツアーでは日本の次の訪問地がドバイでしたが、ドバイって聞いただけでも大金持ちがたくさんいそうなイメージですよね。今回のためにイギリスの本社工場に新設された高電圧を取り扱うための施設は、すでに生産終了後の用途がプランニングされているとのことですが、もしかしたら来年2020年の生産開始前に販売が終了することもあり得るのかもしれませんね

中国マネーで実現した「エヴァイヤ」と世界のEV化

ロータスはレーシングカーでも有名なイギリスの自動車メーカーですが、現在はボルボやポールスターも傘下に収める中国の浙江吉利控股集団(ジーリーホールディング)が親会社です。浙江吉利控股集団(ジーリーホールディング)は中国最大の民間自動車会社「吉利汽車(ジーリー、Geely Automobile)」の持ち株会社で、ロータスに対しては昨年、スポーツカー分野での地位向上のため、15億ポンド(2124億円)という巨額の投資を行いました。ロータスは潤沢な資金を得たことでようやくフルEVのハイパーカーを開発することができたのです。

ロータスが2017年に吉利汽車(ジーリー)の傘下となってからは、親会社から積極的な投資が行われたため、イギリスのへセルにある本社は往時のような活気を取り戻しているようです。こちらのレポート記事によると「エヴァイヤのショーカーに携わったスタッフもやる気に溢れ、このプロジェクトにかける意気込みがひしひしと伝わってきた」そうなので、今回のEVハイパーカー「エヴァイヤ」の生産はロータスにとって、やりたくてもできなかった夢の実現だったのかもしれません。

けれどそれは決してロマンだけの話ではありません。なぜなら世界の自動車産業では、地球温暖化を防止するパリ協定によって、近い将来(早ければ2020年代末までに)ガソリン車を廃止することが既定路線になっているからです。

けん引しているのは主にヨーロッパです。オランダでは今年の5月に、2030年以降すべてのガソリン車とディーゼル車を市内から締め出す内容を含む「クリーンエア・アクションプラン」が発表され、2025年以降はEV車以外の販売が禁止されるのではないかと言われています。
ノルウェーでも今年、与党と野党が合意して「2025年にすべてのガソリン車・ディーゼル車の新車販売を禁止する」と発表して大きな話題になりましたし、インドでも
2030年以降は新車の販売をEVのみとするロードマップが策定されています。

またロータスのおひざ元であるイギリスでも、2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針の英政府が、最近になって新たにHV(ハイブリッド車)も対象に含めることを検討するなど、各国が次々と将来的なガソリン車・ディーゼル車の廃止、そして一部ではHVまでも禁止するプランを発表しているのが現状です。(今後は「プリウス」や「アクア」じゃダメかもしれないんです・・・)

そういった流れを受けて、フォルクスワーゲン(VW)が、次にリリースするガソリンエンジンとディーゼルエンジンが同社最後の内燃機関になると発表するなど、メーカー側も次々と対応を打ち出しており、大気汚染に悩む中国もこの方向に大いに賛同し、EV大国を目指す野望を持って本気で取り組んでいます。

一説ではガソリン車の発売を継続したいのは産油国のアメリカと、世界情勢にうとい日本だけともいわれていますが、もはや世界の自動車産業にとってEV化は夢やロマンではなく生き残りをかけた崖っぷちの必須事項になっており、ハイパーカーも例外ではありません。何が何でもEV化しなければ、目の前にどんなお金持ちが現れても、やがて何も販売できなくなる日が来るのです。

ロータスのフルEV「エヴァイヤ」は、神話のイブから派生した言葉で、「最初の存在」や「命あるもの」という意味が込められているそうです。同社の車名の頭文字は一部の例外を除きEで統一されていますが、「エヴァイヤ(Evija)」では電気自動車を表すEVの二文字も意識しているように思われます。
いま、自動車産業は100年に1度の大変革と言われていますが、この先、どんな未来が待っているのかは誰にもわかりません。けれど、世界がEVに向かって走り始めていることだけは確かです。そんな情勢を鑑み、今回はすごいEVの一例として8月に日本で公開された「エヴァイヤ」をご紹介してみました。

(ミカドONLINE編集部)


出典:
クルマの買い替えでEVを選ぶ気にならないのはなぜか(DIAMOND ONLINE)
ロータス最強のフルEVハイパーカーが日本デビュー。その名は「Evija(エヴァイヤ)」(Car Watch)
LOTUS EVIJA(ロータス エヴァイヤ)世界初、フル電動のブリティッシュ ハイパーカー、「JAPAN LOTUS DAY 2019(富士スピードウェイ)」にて日本初披露!(エルシーアイ株式会社)
ロータスも参入、3億円に迫る電動ハイパーカー「エヴァイヤ」の恐るべきパフォーマンス(WIRED)
など。

♠この記事をお読みになっていかがでしたか?(複数可)
面白かった参考になった仕事に役立つ普通期待したものと違った面白くなかった

ニックネーム(任意)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする