樋口本部長の「ミカド電装マイヒストリー」~②改良した作業手順がGSユアサの作業標準として採用されました

みかドン ミカどん「ミカド電装マイヒストリー」のシリーズです。今回は前回に引き続き当社の取締役で営業部の樋口正和営業本部長に鉄道会社の盤の改良について伺いました。

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人出が足りずに工事も担当、盤の改良を思いつく

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直流電店装置の一例(画像:GSユアサ

前回からの続きです)

編集部 鉄道会社の盤の改良について伺います。ここで言う盤(ばん)というのは要するに直流電源装置のことですよね。

樋口本部長 そうですね。ビルの地下の電気室の中などに並んでいるキャビネット群のひとつに、自分たちが取り扱っている直流電源装置があるんですけど、よく見ると筐体のプレートには直流電源装置盤とか蓄電池盤とか整流器盤というように、〇〇盤という名前が付いています。これを読んでいる方は配電盤とか分電盤のほうなら見たことがあるかもしれませんが、あの一式を自分達は盤と呼んでいます。

編集部 箱型なのに「盤」というのは最初違和感がありましたが、要するに機器が集約されている箱型の操作盤ということですね。樋口本部長は営業職なのになぜ盤の改良を??

樋口本部長 どうしても工事の人が足りない時期があって、そこから自分も行くようになったんです。自分で受けたものは自分で工事する、みたいな。それこそ電気の「で」の字も知らなかったのに結線図を一生懸命読みましたよね。こうやってこうやってこう動くんですよねとか、何度も人に聞きながら必死で覚えました。やらざるを得なくなってそうなったわけですが、色々覚えることができたのでそれはそれでよかったんだと思います。

で、そのうち自分で改造もするようになりました。鉄道会社の設置作業って最終から始発の間にやらなきゃいけないので時間オーバーは許されないんですよ。ですがそれまでの作業工程というのが、(交換の場合は)色々なものを1個ずつ付けて配線も全部やり直しているから、時間がいつもギリギリなんです。これを何とかしたいと思いました。

内部配線を基板化、それが標準化されました

編集部 具体的にどうされたんですか?

樋口本部長 基板化しちゃいました。つまり内部の部品と配線のプリセットです。鉄道会社さんの盤って一括でつくって納められているので、内容はだいたい同じなんですね。それを現地に行ってから一個一個組んで配線していったのでは間に合わないんで、これじゃ僕はやってられないと思いました。なので、面積が合う大きさの板を買ってきて、内部配線は会社で先にやっちゃうの。大体全部の結線を考えて、リレーなどの部品をここにこう配置して、できるところまではもう会社で先に済ませちゃう。

で、外の外部配線だけ取るところを決めてシール貼って、「ここはここ」「ここはここ」って 。だから現場に着いたらそれを盤の中に納めてあとは外部配線だけ。もちろん古い装置の撤去はしなくちゃいけないんですけど、その撤去して空いた配線のところも事前に色々考えて対応させていきました。

編集部 現地作業の前に周到な準備と工夫をされたんですね。それで作業はどう変わりましたか?

樋口本部長 今まで5時間ぐらいかかっていたのが最短で1時間にまで短縮しました。これは自分だけでなく他の人たちもできるようになればいいと思い、図面を書いて指示書をつくってそれを見れば誰でもできるようにしました。

編集部 そんなに短縮されたんですか!

樋口本部長 はい。GSユアサ(当時は日本電池)にも「こういう風にしました。承認してください」というのを流して評価をいただき、この手順はその後標準化されたんです。それがきっかけで最終的にGSユアサから設計の資格をいただき、技術の資格もいただき、商業高校出身で電池の「で」の字も知らなかったのに、はからずも専門知識が身に付いてしまいました(笑)

新製品の追い風を受けて営業力もパワーアップ!

樋口正和営業部長(ミカド電装商事執行役員)_4tai3_00123.MTS_003456686編集部 部長のお話を伺っていると、随所にご自身で工夫されているのがわかります。やはりそれが躍進の一番のポイントですか?

樋口本部長 いや、たまたま新製品の発売と時期が重なったのでそれが一番だと思います。

ですが電池って期限があるじゃないですか?ということはいつかは必ず交換時期が来るわけですよね。そういうところを自分で調べたりお客様に教えていただいたりすると、ご提案のタイミングがわかるので、それにあわせてご訪問したり提案したりはしました。

交換が必要な製品ということは、時期が来ると連絡が来たりするので、黙っていてもオーダーはいただけるのかもしれません。ですが僕は数字が見えないのが嫌だったし、何より目標を立てて戦略を練ってその達成に向かって行動するのが好きだったので、自分から行ったんです。確かに今思えば、産業用の電池屋さんでそういう営業活動をしている人は、ほかにいなかったかもしれません。言われてみれば当時は、訪問先で他社さんの名刺・・・見たことなかったかも??

ただ、改良の設計図にしても受注の伝票にしても、当時は何もかも手書きだったんで時間がかかりましたし、注文が増えてくるとそちらのほうも大変でした。

昔のオフィスワークは大変でした

編集部 そういえば昔はそうでしたよね。

樋口本部長 はい。その当時ってパソコンなんかないじゃないですか。図面だって手書きだし、後半はワープロで書いていた気もしますが、とにかく今とは全然違います。

昔は注文書も見積書も内部の伝票も全部手書きで、カーボン紙を挟んで書くんですが、直筆のほうをお客様に渡してカーボンで複写された控えが会社に残るので、カーボンが薄くて読めないところがたくさんあるんですよ。それでひたいを寄せ合って「これ、なんて書いてあるんだろう?」なんて皆で真剣に考えたりね(笑)

編集部 さきほどワープロという言葉も出ましたが?

樋口本部長 ワープロはもっと後で、そのときはまだタイプライターでした。それも2行しか打てないタイプライターで、カチャカチャと打って一応記憶した分を打ち出してくれるんですけど、それも結局複写はカーボン紙なんですよね。だから何かと効率が悪くて、タイプライターは役所さんに出す見積りのときだけ使っていました。

その後、社長(現会長)がIT化を強力に推進してくれて、今では当社はとても効率よく仕事ができる環境ですが、インターネットとかスマートフォンとかそういった仕組みが発達してくると、営業面では対面よりもスピードが重視されるようになり、お客様と直接お話をする機会も減ってきてしまいました。その分、このミカドONLINEなどでカバーしてもらっていますが、自分はやはり、そういうのって大事だと思うんですよね。

今は指導的立場にありますが、また昔のように1件1件お客様を回ってみたい気持ちはずっとあるんです。これからもそうやってお客様との信頼関係を大事にしていきたいですね。

編集部 本当ですね。今回はたくさんのお話をありがとうございます。自分にも勉強になったインタビューでした。続きを聞きたいぐらいです。ぜひまたいつかお願いいたします。

編集部より
今回は樋口本部長から実に様々な分野のお話を伺いました。とてもここには書ききれないため一部をご紹介する形になってしまいましたが、機会があれば連載にしてもいいぐらいの、濃くて豊富なお話でした!

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