【ヒストリー】42.電気機関車② ~国産1号機は客車?トロッコ?

    日本で最初の電気機関車は、旧国鉄の前身である鉄道院が1919年(大正8年)に製造したED40型と呼ばれる車両です。ED40型が走ったのは、信越本線の碓氷峠区間(横川~軽井沢)です。

    この区間は26か所ものトンネルがあるうえに急こう配で運転速度が遅く、蒸気機関車が走っていたころは、乗務員や乗客が機関車から出る煤煙に苦しめられていました。酸欠による乗務員の窒息事故も多発していたため、鉄道院ではこの区間を1912年に電化し、当初はドイツ製の電気機関車12両輸入しました。

    その後輸送量の増加に伴い、再度輸入を検討しましたが、第一次世界大戦が勃発したため輸入ができず、また、当時の民間メーカーでは電気機関車製造の技術も経験もなかったため、鉄道院が自主制作に踏み切り、当時の大宮工場でつくられました。

    ですが、国内ではもっと早くから、鉱山の運搬用に電気機関車が単独制作されていました。1891年に足尾銅山工作所がGE製電気機関車の図面を基に坑外線(有木坑~製錬所)の車両を自社製造し、営業用以外ではこれが国産1号機と言われています。

    明治の鉱山が高い技術を有していた事例のひとつと言えますが、その形はトロッコに近いものでした。さてあなたなら、どちらを1位に選びますか?