雑草:名もなき草の名(04)~十朱幸代さんの歌で知ったセイタカアワダチソウのはなし~

みかドン ミカどん今回はセイタカアワダチソウのはなしです。河原や造成地でよく見かける雑草ですが、実は思ったほど最強ではなく誤解も多い植物です。刈っても刈っても生えてくるのは厄介ですが、それほど憎むべき雑草でもなさそうです。

繁殖力が旺盛なセイタカアワダチソウは侵略的外来種

セイタカアワダチソウ(画像:越前町

セイタカアワダチソウは、草丈が0.5から3メートルに成長し、秋になると日本全国の土手や河川敷、空き地などの様々な場所で群生し、黄色い花を咲かせる大型のキク科の植物です。

セイタカアワダチソウは日本古来の植物ではなく、北アメリカ原産の帰化植物です。もともとは観賞用に導入されたとの説もありますが、急速に広がったのは第二次世界大戦後。蜜源植物として優秀なので養蜂業者が積極的に種子を散布したという話もあります。

セイタカアワダチソウは道路、工場、住宅などの開発工事が盛んだった1960年代半ばから1990年代中頃に凄まじい勢いで増え続けたため、環境省の生態系被害防止外来種リストに掲載されています。

そんなセイタカアワダチソウですが、私(編集部)は今住んでいる地域に中学生の時に引っ越して来るまでは、この花を見たことがありませんでした。

だから、NHKのみんなの歌で、当時人気女優だった十朱幸代さんが歌う『セイタカアワダチ草』という曲を聴いたときには、いったいどんな花なんだろう?といつも思っていました。

セイタカアワダチソウは不安定な土地に生える?

ですが今の地域に住み始めてその謎が解けました。何かの本で「セイタカアワダチソウは工事現場や造成地などの不安定な土地に生える」という解説を読んだからです。

私がそれまで住んでいたのは仙台の中心部に近い家々が密集した地域で、空き地などはほとんどなく、更地があってもすぐに次の建物が建ってしまうので、セイタカアワダチソウが育つヒマもスキマもなかったんですね。

空地のセイタカアワダチソウ(画像:Weed Herbarium

一方、今の地域は田畑の多い郊外で河原もあれば造成中の宅地もあり、しばらく放置されている空地、耕作放棄された土地などもあります。

この場所に来てからセイタカアワダチソウをやけによく見かけると思ったのはそういうわけだったのか、と私は個人的に納得しました。

ただし私が見た本が何だったのか今となってはわからず、検索してもネットにそのような記述は見つからないので、真偽のほどはイマイチ不明です・・・

セイタカアワダチソウの天下は続かないことも

さて上の図は仙台市宮城野区の高砂市民センターの『蘇る、蒲生の自然』というPDF資料から転載したものです。

この資料は中野小学校の元教員 廣瀬博さんがまとめられたそうですが、東日本大震災から10年経った昨年(2021年)の調査によれば、現在の蒲生干潟には以前は見かけなかったセイタカアワダチソウが確認されたそうです。吹き出しの「今後の群生が気になる」というコメントには私も思わず頷いてしまいました。

ですがこれはその土地の植生が安定するまでの遷移的な状況なのかもしれません。工事現場や造成地などと違い、人手が入らない自然な状態の土地では常に植物同士がせめぎ合っており、植生遷移と言って、生物群集の構成が一つの方向に向かって移り変わっていく現象があるそうです。

それが極相と言われる最終段階に到達すると遷移が停止して生物群集が安定します。

別な資料によると、一般的に空き地で最初に群落を作るのは1年生のブタクサやヒメムカシヨモギで、翌年以降に多年草であるセイタカアワダチソウが優占種となります。やがてススキなどが侵入してセイタカアワダチソウの冬越しの葉(ロゼット)がススキに覆われるようになると勢力が衰えてくるとのこと。

またセイタカアワダチソウはリンやカリウムなどを多く必要とするため痩せた土地での競争力は高くないそうです。

セイタカアワダチソウには誤解がいっぱい

最後に余談ですが、セイタカアワダチソウが花粉症の原因とされるのは濡れ衣だそうです。養蜂家が輸入したという話でもわかるように、セイタカアワダチソウは虫媒花でそれほど花粉を飛ばさず(重くて飛散しにくい)、種子よりも地下茎で増えるためです。

また、セイタカアワダチソウは他の植物の生育を阻害する物質(アレロパシー物質)を出すことでも有名ですが、実際の自然環境では様々な条件によりそれほどの影響力はないようです。

しかも以下のブログによると、その花はハーブとして利用でき、体内の毒を排出してくれたり、アトピー性皮膚炎を改善する作用があるそうです。

🌍 [セイタカアワダチソウ]嫌われ者の”雑草”は実はとっても使える薬草でした|キク科アキノキリンソウ属|エバーグリーン

セイタカアワダチソウの花の時期まではまだ間がありますが、今までこの花の名前を知らなかった方は、季節が来たらぜひ思い出してくださいね。

(ミカドONLINE編集部)


出典/参考記事:セイタカアワダチソウの駆除にご協力ください|越前町公式ホームページ 植物雑学事典「セイタカアワダチソウ」岡山理科大学 セイタカアワダチソウ / 国立環境研究所 侵入生物DB セイタカアワダチソウのアレロパシーと自家中毒について | みんなのひろば | 日本植物生理学会 など

    ♠この記事をお読みになっていかがでしたか?(複数可)
    面白かった参考になった仕事に役立つ普通期待したものと違った面白くなかった

    ニックネーム(任意)

    シェアする

    • このエントリーをはてなブックマークに追加

    フォローする