【雑学】日本酒の旬を知らせる「杉玉」

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    酒蔵や居酒屋の軒先にぶら下がっている球体。スギの葉でできた、その名も杉玉です。

    酒林(さかばやし)とも呼ばれるその球体は、古くから造り酒屋の目印になっていました。茶色い姿が思い浮かぶかもしれませんが、それは長い間吊るされてスギの葉が枯れた状態。作ったばかりの杉玉は鮮やかな緑色をしています。秋収穫の米で作った新酒を絞る頃に新しいものが吊るされるので、10~11月頃から見られる青々とした杉玉は「新酒を絞り始めました」というサインになります。またそれがだんだんと枯れて茶色がかってくることで、新酒の熟成具合も知らせるのだとか。

    酒屋の軒先にスギを吊るす起源は酒神である大神神社の三輪山のスギにあやかり酒の神様に感謝するものだったようですが、江戸時代には酒の旬や酒屋であることを示す看板の役割を果たすようになり、現在のような球状になったと言われています。冬からの新酒の季節は束の間の若々しい緑色を見ながら一杯、それが茶色になった頃には熟成したひやおろしを一杯…と、杉玉の色の移り変わりを肴に飲めば、日本酒をより粋に楽しめるかもしれません。