【雑学】日焼けはいつから悪者に?母子手帳からも日光浴の文字が消えていた

    今回は当社の沢田元一郎会長からの疑問です。「日焼けはいつから悪者になったのか?」会長曰く「信じられない話かもしれないが、昔はフツーにくろんぼ大会があった。夏休み明けは皆で日に焼けた肌の色を競ったものだった。いつから状況が変わったのか?」そこで編集部が早速調べてみました!それにしても「くろんぼ大会」っていう言葉も、今は使っただけでヒヤヒヤしちゃいますよね💦

    ここに昭和の時代を彷彿とさせる一枚の写真があります。所有者は宮崎県のオトジマさん。オトジマさんのブログ記事「土々呂海水浴場のくろんぼ大会」より転載させていただきました。

    そうです。昔は確かにくろんぼ大会がありました!そしてポスターの名作で、前田美波里を一躍スターダムに押し上げた「太陽に愛されよう」という資生堂の広告が、新しい健康美として大ヒットした時代もありました。でもいまは、誰もが紫外線を気にして、女性は長袖や長手袋を着用して日傘で外に出る時代ですよね。言われてみれば、いったいいつから日焼けは悪者になったんでしょう?

    そもそもの発端はオゾンホールの発見

    調べていくと、紫外線への世間の評価が変わり始めたのは、南極のオゾン層が春季に減少する現象が発表された1985年前後からのようです。

    これが国際問題となりオゾン層を破壊するフロンガスの規制がモントリオール議定書で2年後に採択されますが、その動きが報道される過程で、紫外線の人体への影響がクローズアップされてきたようです。

    オゾンは酸素原子3個からなる気体(酸素の同素体)で成層圏(約10~50km上空)に約90%存在しており、オゾン層として太陽からの紫外線を適度に遮断して地上の環境を穏やかに保ってくれていますが、この層が破壊されて紫外線が直接地表に降り注ぐようになると、紫外線が元々持っている作用で、皮膚がんや白内障が増える可能性があります。

    また現在では、シミ・シワや肌の老化も紫外線が犯人とわかっており、日本では特に女性の美肌上の理由から、「転ばぬ先の杖」のように将来のシミ・シワを予防する行動として、「日焼け=紫外線」徹底防止の習慣が根付いたものと思われます。

    個人的にはそれに加えて、化粧品会社の巧みな戦略とか、何か問題が起こると一斉に同じ方向に走りやすい国民性なども影響しているように感じますけどね^^

    母子手帳からも「日光浴」が消えていた

    紫外線はそれまで、ビタミンDをつくり、殺菌作用を持ち、精神を高揚させるエンドルフィンを増加させるなどの利点があり、医療にも活用されてきました。特に日照時間の少ない高緯度の地域では、健康の維持に太陽光が必須とされ、人々の間にはいまでも日光浴の習慣が根付いています。

    けれど日本では1998年に紫外線が皮膚に与える害が大きいとして、母子手帳の3~4か月児のチェック項目からも「日光浴」の文字が外されました。そしてこれと前後するように、資生堂、ピジョン、花王、カネボウなどのメーカーが次々と乳幼児向け日焼け止めクリーム、UV化粧品などを発売しているそうです。

    ちなみに大人向けの日焼け止めクリームは、資生堂が1923年(大正12年)に早々と発売していますが、これは幕末以降に洋風化してきた生活の影響で、レジャーとして浸透し始めた海水浴を念頭に置いた商品です。そして同社からは1980年に初めてSPF表示がある商品が発売されています。ですが自分の記憶では、この頃の日焼け止めも普段使いではなく、レジャー用のイメージだった気がします。

    日焼けを嫌うのは実は日本だけ

    実は日焼けに対する感覚は、日本と欧米では真逆のようです。欧米での日焼けはセレブの証。バカンスにリゾート地に長期滞在できる富裕層のイメージが強く、小麦色の肌にあこがれる文化が根強くあるようです。

    欧米では日焼けはカッコいいことなので、シミやシワになりやすいと理屈ではわかっていても、それよりも日焼けを優先する人のほうが圧倒的多数のようです。日本をはじめとする東アジアで、色黒は屋外作業に従事する階層という考えがあるのとは正反対ですね。

    欧米では日焼け止めも、主な理由は皮膚がん防止のため。それに、目を保護するためにサングラスをかけるのが一般的ですが、日本人が紫外線を気にするのと同じぐらいの意識で、向こうの人達は日焼けした肌になりたいと思っているようで、男性も女性も、日に焼けていないのはむしろ「恥ずかしいこと」なんだそうです。だから、暇さえあればすぐ日光浴をするとのこと。

    そんな欧米人の目には、肘まである手袋をして日傘で歩く日本人の姿は非常に奇異に映るそうですが、さすがの日本人も海外のリゾート地でそれをすると完全に「変な人」として周囲から浮いてしまうので、海外ではあきらめる、という声が多いようです。

    最後に私が大好きなユーチューバー バイリンガール チカさんの初期の動画をご覧ください。アメリカには美白文化なんてないそうですよ!バイリンガール チカさんは最近赤ちゃんが生まれましたが、はたして日光浴はさせているんでしょうか?こんど聞いてみたいですね。

    参考/子供のくる病が急増、その原因が母子健康手帳の改訂にあった!?