事業継続の課題を解決Ⅵ BCPの組み立て方③(事業継続戦略・対策)

BCPイメージ

前号では、復旧を早めるためにあきらかにすべきボトルネックについてお伝えさせて頂きました。本号ではこのボトルネック解消を含む具体的な事業継続戦略・対策についてお伝えいたします。※全ての記事はこちら

(ミカド電装商事(株) 代表取締役 沢田 秀二)

 (1)事業継続戦略・対策の基本的な考え方

分岐点考え方の方向性としては、
第一に、想定される被害からどのように防御・軽減・復旧するのか?第二に、利用・入手できなくなった要素の代わりをどのように確保するのか?といったものがあります。

「防御、軽減、復旧」については、津波被害にたいする防潮堤、地震被害に対する免震構造の建築方法、復旧について言うのであれば仮設橋や臨時のう回路などでしょう。

「要素の確保」については、店舗であれば、現地店舗を復旧させる方向性と、現地での復旧は諦めて代替拠点を探す。物流であれば、通れなくなった道路を仮復旧させて運ぶ方向性と、全くの別ルートを検討する方向性。

製造業であればあらかじめ一定の原材料在庫を確保しておく方向性と、非常時に原材料を供給してくれるルートから入手するといった感じです。当社の場合であれば一定量の仮設用バッテリーを在庫しておく方向性と市内のグループ会社の協力を得て必要量を供給して頂くといった方向性となります。

選択BCMが「どのような危機的な事象が発生しても重要業務を継続する」との趣旨からつくられることを考えると、代替戦略の有効性が高いと感じられます。

とは言っても、発生するかしないか分からない事象に備えるために店舗や物流拠点を別に用意したり大量の在庫を抱えるとなるとある程度の費用が発生してしまいますのでボトルネックとなる要因のみを必要最低限の費用で出来るところだけで計画したり、他社との提携(相互支援協定)などにより費用を抑えて構築をするのもありかと思います。

いずれにしてもしっかりと隙間なくBCPを構築するのか、あるいはお金をかけずに最低限レベルで構築するのかも検討すべきでしょう。

当社では受注生産品を扱う性質上、在庫を揃えたり拠点を用意する様な事はあまり必要がないので、安全に関するところはお金をかけて、商品在庫や、燃料調達といったところは、提携によりカバーした形で費用を極力抑える事を基本として検討しました。

(2)事業継続戦略・対策の検討

①供給継続と早期復帰

一番重要なのは、「製品とサービスの供給継続と早期復旧」となります。
まずは建物や設備の被害を最小限に抑える方法、代替拠点(サテライトオフィス、在宅勤務を含む)や他社との提携による業務の継続を検討しましょう。
次に事業継続するための最小限の在庫確保や保管場所ならびに仕入先の分散化、および代替品調達(汎用品や類似品)の可能性を検討します。
そして、業務継続に必要な最小限の代替要員の教育やOBなどの経験者の確保など要員にかかわる検討をしてください。

②中枢機能の確保

次に重要とされるのが、「企業・組織の中枢機能の確保」です。
発災によって緊急時の対策実施を指示する会社の中枢部である本社や重要拠点が被害を受けてその機能を失ってしまったのでは元も子もありません。
本社や重要拠点に対して発災からの被害を最小限に抑える対策は最も基本的な対策ですが、本社や重要拠点が機能しなくなった場合の代替拠点を想定しておくことも重要です。
また、物理的な拠点の被害だけではなく中枢部の要員に万が一に人的被害があった場合において、この者に代る要員も同じく検討しておく必要があるでしょう。

中枢機能

③情報発信と情報システム

さらには情報に対する対策も重要な項目となります。
発災からの被害を受けたけども、お客様に対する製品やサービスの供給には問題ない、あるいは、いついつまでには復旧できそうだといった情報の発信ができないと、良からぬ噂がたったり、知らないうちに他の供給元に切り替えられたりします。
そして情報の発信や自社で保有している情報の確保そのものに必要となるシステムの維持にも検討が必要です。
システムの二重化、クラウド化や非常電源の確保といった事がこれに当てはまります。
ちなみに、当社は非常用電源設備の販売・設置工事をメインに取り扱っている会社であることを声を大にしてアピールさせて頂きます。

④資金

資金ショート対策も検討しなくてはなりません。
発災からの被害を受けて重要業務が滞り、収入が減少したとしても、給与や調達先への支払いは発生しますし、復旧にかかる資金も見込んでおかなければなりません。
保険、共済、融資予約、災害時ローンなどを検討してみましょう。

⑤法令順守

発生事象からの被害を受けて法令順守が叶わなくなる事も想定されます。
装置故障により廃液・排ガスの規定値が守れなかったり、規定以上の残業を従業員に課すことになったりしますので、事前に緩和措置について確認したり、自治体に対して検討を依頼する事も必要となります。

⑥行政、社会インフラ事業者との関連

事業継続戦略を有効なものとするために、行政、自治体、社会インフラ事業者のBCP・BCMと整合性を持たせることが必要となってきます。
事業所として、ちぐはぐなものとならなように注意が必要です。

⑦地域との共生と貢献

第四回目で、「事業の継続だけではなく、地域貢献、地域との共生にも力点を置いた「産助」といった考え方から、地域を支える行動が求められるでしょう。」とお伝えしました。
この産助の考え方もさることながら、復旧工事の騒音や機器搬入などでご迷惑をおかけするなど、復旧計画を達成させるためにも地域の協力であったり連系が必要となってくるでしょう。
当社でも、復旧が一段落したときに、お客様や地域から後ろ指を指されるような事は決してしないと言う事を心がけておりましたし、地域に対する日ごろの貢献・共生を心がけております。

            

かなり長々と、事業継続戦略・対策について書かせていただきましたが、ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。次回はBCPの組み立て方の最後となります、実際の「計画の策定」についてお伝えしたいと思います。       乞うご期待。

(沢田秀二)

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