【ヒストリー】38.エレキギター (1)ルーツはフライパン?

    初期の「フライング・パン」
    出典:Wkipedia

    意外なことですが、初期のギターはマイナーな楽器でした。それまでのポピュラー音楽におけるギターは、和音を奏でるだけの伴奏楽器に過ぎず、他の楽器が様々に改良されていく中で、取り残された存在でした。

    しかし、1930年代にアメリカでハワイアンミュージックが流行し始めると、新型ギターの製造にビジネスチャンスを感じた人物が現れました。ハワイアンミュージックの愛好家で自身もミュージシャン経験のあるジョージ・ビーチャムです。ハワイアンミュージックでは、主旋律を奏でる楽器としてギターを用いることがよくありましたが、アコースティックギターの音量では、大聴衆の前で演奏することは適さず、大音量のギターが望まれ始めていたからです。

    1934年の特許申請書の一部。
    出典:Wikipedia

    ビーチャムは弦の音を電気信号に変換する部品(ピックアップ)をギターに取り付け、それをアンプで増幅するスタイルのギターを発明しました。また仕事を通じて面識のあった機械技術者アドルフ・リッケンバッカーと提携し、さらにリッケンバッカーの金属加工工場からアルミボディの供給も受けて、1932年に世界で初めて電気ギターの商業生産が開始されました。ビーチャムとリッケンバッカーが開発した商品の名前は、なんと、「フライング・パン」!(笑)これは見た目がフライパンに似ていることから名付けられたネーミングでした。

    このギターは、今一般的に言われているエレキギターではなく、ハワイアンミュージックでよく使われるスチールギターでしたが、この時期を境に、音楽シーンごとに様々なギターが開発され、楽器として人気も高まっていきました。

    新型ギターは開発者たちが新しく作った新会社から販売されましたが、リッケンバッカーはギター製造に将来性を見いだせなかったのか、1952年にこの会社を売却しました。ですが、アメリカ国内で著名な戦闘機パイロットだった同姓の親戚の知名度を利用して、売却以前に発売した自社ギターにはリッケンバッカーというブランド名を付けていたため、経営者が変わってもブランド名は生き残り、今に至っています。

    The Beatlesの蝋人形
    出典:Wkimedia

    ところで、リッケンバッカーと言えばやっぱりビートルズ!ですよね。リッケンバッカーは大成功を収めたイギリスのロックバンド、ザ・ビートルズに愛用されたことで、一躍世界的なメーカーとなりましたが、そのルーツはフライパン型のハワイアンギター(スチールギター)でだったことに、ちょっとびっくりでした。

     

     

     

     

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